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2009年4月28日

GPホットライン 09-04 バーレーンGP

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フロントローからスタートしたトヨタの初優勝に期待がかかったが、終わってみたら表彰台最上段にはブロウンのバトンが登っていた。クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとスティンガー編集長が、バーレーンGPの裏舞台をズバリ診断する。

◆「速さ」でフロント・ローはゲットしたが......
羽端 あー、残念!......というかやっぱりというか、トヨタは"表彰台止まり"でしたねえ。
[STINGER/山口](以下[STG]) う~ん、まぁ、F1、そうそう簡単に勝たせてくれない、ということで。
羽端 このバーレーン、ポールは、トヨタのどっちかじゃないかなとは、思ってたんですよ。土曜日の朝のタイムなんかを見ていて。
[STG]土曜日までの流れは完全にトヨタでしたね。しかし、「速い」と「強い」は違うので。
羽端 ああ、そうかもしれないですね。
[STG]予選は、1周だけ速ければいい。でも、レースになると、連続して走ることになります。"速い"というのは、単発でもいえるけれど、"強い"というのは、例えばタイヤに優しかったり、マシンそれじたいの長持ち、それからチームの経験なども含めて、ということですね。運転するドライバーも疲れないクルマじゃないと。
羽端 なるほど、それこそ「総合力」ですね。うん、この言葉は、こういうときに使うんだな!(笑)トヨタは、たしかに「速さ」は獲得したけれど、されど......。
[STG]......です。しかし、着実によくなっていると思います。日本には法華の太鼓もあることだし(笑)。
羽端 ダンダンよくなる(笑)。それでね、今回の予選で思ったのは、トゥルーリかグロッグのどっちかに、ポールを取りに行かせる。そして、片方はたとえば3列目くらいでもいい、というような作戦もあるのかな、と。

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[STG]いや、正直、そういうレーシングな"余裕"はまだトヨタにはないかな......。偉そうに言っちゃうけど、そういうムードは現場で見ている我々にも伝わるもんですからね。
羽端 発表された車重を見ても、どうもそういう役割分担はなかったようで。
[STG]会見で、私が新居章年技術コーディネーション担当ディレクターに質問しているんですよ。"二人の関係はどうですか?"って。仲がいい、と新居さんはおっしゃっていた。それはそれでこの段階では非常に重要と思いますが、ここから後というか上に行くなら、仲良しではなくて、お互いにセッティングを絶対に教えないとか、ミーティングの後にこっそりセットを換えるとか、そうならないと。二人がお互いを刺激しあって相乗効果で高まっていく、というのはとっても美しく聞えるけれど、ここから先にトヨタが強くなるなら、そのあたりがテーマになるかも、ですね。
羽端 そういうのもあって、予選では、2人にポールを取りに行かせた。あの車重だと、そういうことになりますよね。まあ、フロントロー独占ということでの「保険」を選んだという気もするんですが。
[STG]いや、それはそれとして、プロモーションのこともあるし、予選のフロントローというのは重要だと思います。日曜日の朝の新聞に、"トヨタ1-2"と出ることの意味は案外大きい。特にこういうご時世ですから。
羽端 でも、レースでの"ウイナー"って、ひとりだけですよね。予選ワンツー、決勝でもワンツーというのは、美しい夢だとは思うけど......。
[STG]美しすぎると、なかなかね。でも、マレーシアの直後に山科忠チーム代表とも話したし、昨日、バーレーンに視察にいらしていた岡本一雄取締役副会長とも予選の後に話しをしたんだけど、"この位置にい続ける"ってことはかなり重要だと思います。
羽端 あー、そうですねえ......。というか、その位置、つまり「ウイナーになってもいいですよ」という場所にいることは、相当すごいことであるとは思います。そして、その"ウイナーズ・サークル"にいるチームにだけ、チャンスはやって来るので。レースって、そうですよね?
[STG]......です!! その通りです。

◆多様な戦略・作戦を"使いこなす"とは?
羽端 でも、それはそれとして、今後を考えると、「保険」ということでは、2人のドライバーで最初のピットインが大幅に違うという保険のかけ方もあると思う。
[STG]マクラーレンやフェラーリがよくそういう手を使いますね。ただし、片方がチャンピオンを取れる、というような場合ですけど(笑)。
羽端 あ、そうか。これは、強者の戦略か。たぶんですけど、一度でも「勝った」という経験があると、作戦=保険のかけ方も多様になってくるんでしょうね。
[STG]その通りと思います。
羽端 ただ、その経験がないチームは、今回みたいに、とっても"青い"保険のかけ方をしてしまう。
[STG]"青い"は言いすぎじゃないですかぁ(笑)。しかし、言えてるとは思いますけど。
羽端 あるいは、こういう見方はどうでしょう。"常勝"チームであれば、ヤルノの勝ち方と、ティモの勝ち方と、二つの「ストーリー」を持てる、というか。
[STG]......ですね。要するにポケットを複数持っているかどうか。でも、まだ勝ったことがないトヨタにそれを要求するのはムリってもんです(笑)。
羽端 その二つの「物語」を自在に操って、結果としてはワンツーになることもある。しかし、それはべつに目的じゃなかった、と。
[STG]それができたらね! 日本語で言うと、機微とか阿吽とか、そういう世界になっちゃうと思うけど。
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羽端 今回のトヨタの場合、2人がおんなじような戦略で闘って、そして、おんなじような格好でブロウンにしてやられて、最終的にも、ブロウンに真ん中をゲットされた。
[STG]ただし、では作戦を違えたとして、トヨタが優勝できたかというと、それはなかったと思います。弱肉強食ですから、よほどのフロックでない限り「勝つ奴が勝つ」というか。
羽端 いいクルマができて、いいドライバーがいて、いいスタッフがいて、いいサポートがあって。でも、それだけでは......
[STG]そういうことです。多分、戦争も同じじゃないかな、と。
羽端 レースっていうのは、残念ながら「いい人」がキレイに勝つ、ようにはできてない?
[STG]ブッシュ大統領がいい人には見えなかった(笑)。
羽端 悪いやつでもいいから(笑)ひとり、有能な「戦略屋」さんがほしいなとか、端から見てると思ったりします。
[STG]それも大事だけれど、全体のイメージかな、と。いまは相当に、まさしくカイゼンされていると思うけど、トヨタ・チームには、どうしても真面目さというか"きちんと進める"みたいなムードがある。真面目にやってちゃ勝てない、と思うわけです。
羽端 日本史でね、源平時代なんだけど、「悪源太」と呼ばれた武将が源氏にいた。これって、悪人とか犯罪人とかいう意味ではなく、「強い」とか「切れ者」といった意味だった。
[STG]そういう意味で言うと、TMG副社長の木下美明さんは、かなりやんちゃですよ。山科チーム代表もだけれど、それ以上だと思います。ある意味、やんちゃ坊主が泥んこになっておもちゃを自慢しあっているのがF1ですからね(笑)。
羽端 おお、その表現はいいですね! ......というわけで、そういう"日本語"もあるので、ここはひとつ、ブリアトーレやロスや、あるいはレッドブルの誰某なんかもビックリというような「アクの強いやつ」がトヨタにも出現して......。
[STG]そいつはいい! あ、もしかして、悪人て、アクが強い人のことかな?
羽端 ハハハ(笑)。それで、いっちゃ何だけど、○ンダの●本さん。あの人って、俺、「アク人」だと思うなあ!(笑)......で、ああいう人が、レースには勝つんだよ。
[STG]●本さんをトヨタに紹介しようかな、なんてね(笑)。
羽端 それはいいかも(笑)。
[STG]元々クルマは、遊びの道具じゃないですか。その遊び道具で競争するって、日本では真面目な人は考えないというか、邪険にする。その最高峰がF1なわけで、アク人にしか理解できない世界、ってことで? 真面目なクルマ作りでは、売れるクルマはできても尊敬されるクルマは送り出せないですからね。トヨタがF1で勝つためには、まずはアク人になる、といいうことで(笑)。

【4月27日 西湘 - マナマ・ホットライン】




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