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2009年5月27日

GPホットライン 09-06 モナコ(パート-2)

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FIAのマックス・モズレー会長。

"バジェット・キャップ論争"が気になる
羽端 ところで、今回はコースでの競技からちょっと離れてですね、例の「バジェット・キャップ」というものについて、ちょっと教えてほしいです。
STG FIAのマックス・モズレー会長は、前々からコスト低減を訴えている。

羽端 それが予算ということですね。
STG 来年から、日本円にして70億円しか使っちゃいかん、と。

羽端 "しか"というのが、70億ね(笑)。
STG 去年までは500億とかいわれていた。ブリヂストンの浜島さんは、「去年まで、高層ビルがひとつ建つくらいの予算をかけていた」といってましたが、それくらいに、まぁ、安くはない。

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フェラーリのモンテゼモロ会長
羽端 それが70億円では無理と、そういうのもあって、モナコにチーム関係者が集まって協議しているわけですね。
STG FOTA(フォーミュラ・ワン・オーナーズ・協会)です。すでにこの件で何度かミーティングをやってます。フェラーリのモンテゼモロ会長が代表で、今年に入って活発に活動をしています。

羽端 この件ですけどね、何というか、双方の言い分はどっちもわかるという気がするんです、FIAもFOTAも。モズレーさんのいう、何らかのレギュレーションを決めないと、ヘタしたら、F1というものが今後成り立たなくなるかもしれない。これは一理あると思う。
STG たしかに、その通りで。金がかかりすぎていることは、間違いないと思います。とくに、風胴実験のコンピュータ解析には天文学的な資金がかかるといわれていますから。

羽端 なるほどね。そういう風にカネがかかると、ホンダみたいに、あんなに"やりたがり"(笑)のところでも、ちょっと資金が気になると、レースをしないということになったりする。
STG ホンダの場合は、ちょっと違う気がしますね。コンコルド協定というチーム間の紳士協定で、『20台出走』を守る義務もあった。それを反故にして、いわば勝手にやめちゃった。トヨタの人もブリヂストンの人も、口には出さないけれど、逃げるってありなの?みたいな感覚を持っていると思います。で、ヨーロッパの連中から見れば、裏切り者ですから。日本的に言うと敵前逃亡だと。

羽端 そうか、それでブロウンには、「H」の一文字すら入らないのか!
STG でも問題は、70億円という金額もだけれど、それを守れば、有利な車両規則にできるというところにもある。

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バジェットキャップ論争で最も注目を集めているフェラーリ。
羽端 フェラーリが代表的なのかな、ひとつのレースに二つのレギュレーションがあっていいのか、ということ。これも一理あると思います。
STG 問題は、『F1』というカテゴリーをどう捉えるか、ということになると思いますね。

羽端 予算の制限が......というより、こっちの、二重のレギュレーションの方が、フェラーリなんかはいやなんでしょうね。頂点は逆にシンプルであるはずなんで。
STG ......ですね。もうひとつ、"いや"という発言がチョッと気になる。というのは,ヨーロッパでは、日本なら『文句』に見えることが単なる『意見』だったりしますから(笑)。

羽端 その点では、メディアの書き方も問題ありますね。すぐに「脱退か?!」ということにしちゃうから。
STG そう、ボクシングなら、ジャブの打ち合いなのか、とどめのパンチなのか。それをちゃんと見極めないと。

羽端 でもね、2種のレギュレーションで混走して、そしてとっても成功してるレースってあるのでは? はい、日本のスーパーGTですが(笑)。
STG それこそ見方によりますけど、私はスーパーGTが成功しているレースには見えないです。あれについて、"全日本ドメスティック田舎GT選手権"と書いたことがありますけど、仲良しクラブで、出来合いになっちゃって、参加している選手や監督連中、特にレーシングなマインドを持っている人たちには評判がいいとはいえないですから。

羽端 F1と一緒にしちゃいけないのかもしれないけど。どっかから、石が飛んできそうだな(笑)。
STG もう投げました(笑)。

羽端 わはは(笑)やっぱり! ただね、「二つのレギュレーション」というけど、一方でこれは、ハンデをつけるということでもあると思う。競馬もハンデ戦というのがあるし、ゴルフも"ニギる"ときはそうでしょ?(笑)。これ、予算が少ないチームの立場になってみると、「じゃあ、少しくらいハンデくださいよ」といいたくなるのは、私はわかります。
STG はっきりしているのは、ハンディがあるのは階級社会ではなくてイコール・コンディションからの発想ですね、きっと。それにアマチュアレベルや、デキアイのレースならそれもいいかもしれないけれど、頂点のF1でそれをやっちゃオシマイ、というか。

羽端 そういえば、GTって、勝つと重量が重くなるじゃないですか! あ、また、日本のGTが出て来ちゃった。今度の石は、でっかそう?!(笑)
STG そこが日本のスーパーGTが天井に突き当っちゃっているところなんです。というのは、レースには金がかかるから、どうしても自動車メーカーのバックアップが必要ですね。もちろん、プロモーションとしてだけではなくて、技術的側面でも。研究開発の恰好の場なので。

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羽端 そうなるでしょうね、うん。
STG ところが、開発を進めてせっかく速くしたら、重量を詰まれて遅くなる。これってレースの本質とは違うのでは、ということになるわけです。たとえば、速くなったらスタート位置を後ろにずらされるというなら、テクノロジーの闘いとしてのレースの基本精神が貫かれていると思うけれど、重くするってのはどうもいただけないです。

羽端 なるほど。ギャンブルのオートレースって、ハンデは距離でつけるみたいですね。実際に見たことはないですけど。
STG そうだとしたら、それは正しいハンデの付け方だと思います。

羽端 それとね、もうひとつ。こんな意見も私は持っています。仮に、予算を無制限で使えるようなリッチなチームがあるとしますね。そして、いまいわれてるような新レギュレーションになったら、何か有効なエクィップメントをつけても許されるというビンボー・チームが、一方で出現します。フェラーリなんかは、まかり間違って、そういうビンボー・チームが勝っちゃう、そういうのに負けるというのが、もう、ものすごくいやなんでしょうけど。
STG ただし、忘れちゃいけないのは、"貧乏チーム"は開発資金がないってことです。

羽端 おお、そういう側面もありますね。
STG そうそう簡単には、速くなったり遅くなったりしないと思います。

羽端 なるほどね。......で、さっきの意見のつづきをちょっといわせてもらうと、そこで、オカネモチ・チームへの私からの提案! オカネは無制限でお持ちなんだから、制限予算内で"暴れられる"ようなハイテクのチームを、もうひとつ、自分でつくっちゃいましょう! あー、二つのレギュレーションがあって......とか文句をいいつつ、でも、どっちのレギュレーションでも最強であるという2チームをお持ちになればいいのです。こうすれば、負けるということはない!

STG それは、いい考えかもしれない! レッドブルとトロ・ロッソみたいなことですね。エンジンつながりのトヨタとウィリアムズというのもあるか。でもエンジンつながりだと、マクラーレンとブロウンはどっちがどっちだ?(笑)。

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羽端 マクラーレンはスポンサーが付きそうだから、予算無制限の方! ブロウンは......あ、でも今年こんなに強いと、来年は"白い"ままではいられないなあ!(笑)

STG しかし、さっきも言ったように、FIAとFOTAは、ケンカしているんじゃなくて意見交換をしている、という見方もある。互いにジャブを出しつつ、世間を巻き込んで、よりF1の理解を深めたい、というような――。われわれも見事にそれに巻き込まれて、こうして長々とくっちゃべっちゃうワケです(笑)。

羽端 ははあ、なかなか役者が上ですなあ!(笑) でも、新レギュレーションの件は、一応、延期ということらしく。でも、1年経っても状況はそんなに変わらないのでは?
STG 経済状況という"世間様の見解"をFIA会長のモズレーさんは利用して、自分の手柄にしようとしているのかも。だとすると、これは意見交換だけでは済まなくなるかもしれないですね。必要以上に騒ぎ立てて不安を煽っている日本のインフルエンザ報道にちょっと似てるかも。

【5月26日モンテカルロ--西湘ホットライン】




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