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2009年12月11日
スティング君の"トヨタF1さよならツアー" 第3回 (徹底的に計測する)
TMGの敷地は広大だ。後楽園ドーム2.4倍あるそこの建物は、大きく長いビルがひとつ。迷路のような廊下でつながっているが、外部の人間が一人で入ると確実に迷う広さだ。ちなみに、廊下のあちこちに赤い自転車が目についた。広すぎて歩くと時間がかかることから重宝されているという。
自転車は広いTMGの必需品。

建物内部は大きく分けて、エンジン・ワークショップ、エンジン設計、エンジンのテストベンチ、機械加工、カーボンファイバーなどの成形をするコンポジット、シャシーテストベンチ、そして、歴代F1マシンや、F1以前のルマンカーやWRCで活躍したマシンが並ぶショールーム、マシンの整備を行うF1ワークショップ、そしてふたつの風洞棟が鎮座している。
上空から見たTMG。後楽園ドームの2.4倍の敷地に"F1"が詰まっている。

今回の見学ツアーで改めて感じたのは、現在のF1が、いかに徹底したシミュレーション装置で事前チェックを行うのが常識になっているか、ということだった。
シミュレーションと一口に言っても、ドライブシミュレーターに始まって、エンジンダイナモ、シャシーテストター、そして風洞と多岐に渡っている。
◆エンジン・ダイナモ

F1エンジンを開発には不可欠なダイ
ナモ(エンジンのテストベンチ)は、エンジン単体をある回転数で回すのが一昔前のやり方だった。だが今では、実際の走行中と同じ負荷をかけてテストされるようになった。この装置は、ホンダの栃木研究所も10年ほど前に導入し、一昨年最新バージョンをさらに入れてブラウンGPに献上したといわれている。そのベンチの本格稼動は今年からの予定だったので、ブラウンGPの稼動には間に合ったようだ。
ダイナモは、ガラス窓越しに観察できるようになっているが、そのデスクの上にはステアリング・ホイールが、デスクの足元にはペダルがついている。実際の走行状態と同じ様に操作するためだ。さらに、実際の走行で取り込んだデータをつなぐことで、実際にサーキットを走っている回転数で"模擬走行"が可能。ここまでは、知られてたことだが、エンジン単体ではなく、ギヤボックスも装着され、駆動輪からの負荷を掛けられた状態で、さらには、インダクションポッドからは、走行中と同じ空気が流れ込むという徹底ぶりは、思わず唸る見事さだった。
白いダクトの先にエンジンが見える。左右の赤い箱は、リヤタイヤへの負荷入力用。黒い像の鼻のようなインダクションポッドから走行中途同じ空気が流れ込む。

◆フラットプレート(常盤)
水平を保った定盤。この上にクルマを載せて、タイヤの重量配分を計ったり、ボディーワークの寸法チェックする。主に、レース前の規則適合チェック用である。各サーキットでは、これに似た装置が用意され、FIAの技術員が車検を行っている。ミリ単位のセッティングのために、必須の大道具だ。

◆コンプリート・カー・テストリグ
3軸29自由度のアクチュエータが付いていることから、329テストリグ とも呼ばれる。ここにマシンをくくりつけ、サーキット走行中にかかるストレス荷重の入力を入れて、クルマ全体の剛性や耐久性をテストする。当然、データは、各サーキットの状況がインプットされ、実際の走行と同じ条件がトライできる。

斜め左後ろから眺めたコンプリート・カー・テストリグ。クルマの各部にかかるストレスを計測する。
◆ロデオリグ
F1はハイスピードでサーキットを走行するが、どんな状況でも、十分なオイルが必要な箇所に巡っていなければならない。この"ロデオリグ"は、ギヤボックス内の潤滑性能テストする。オイル系統の流れ方や、冷却能力の過不足をチェックするのガ目的だ。走行中のGの影響をギヤボックスを傾けて再現。激しく動いている姿がロデオのようなので、こう呼ばれる。

◆7ポスト
実際のマシンを載せ置き、7軸の"ポスト"からの入力を入れてマシンの状態を観察する。視察時には、今年行なわれた18戦中で最もバンピーなシンガポールGPが"再現"されていた。実際のコースで収拾したデータによって、加減速やコーナリングGに応じた入力が与えられ、マシンは激しく揺すられる。シンガポールGPでドライバーが、「酷いバンプだ」と口をそろえた理由が一目瞭然。思わず「シンガポールGPの主催者にこれを見せたいですね!」と担当者にジョークを飛ばしたくなった。
バンピーなシンガポールGPのマリナ・ベイ・サーキットを"走行中"。マシンは激しく揺れている。

さらに驚くのが、各レースの金曜日の走行データがここに送られ、そのデータで解析が行われていこと。セッティング変更項目が世界各国の現場からケルンのTMGに送られ、それを確認した結果がが土曜日の走行に反映されているのだった。F1のすごさを再認識!

レースの週末には、現場からここに送られたデータを反映して、セッティングに遠隔貢献している。
◆風洞
コストキャップで使用か制限されているとはいえ、現代F1マシンで不可欠の空力特性をテストし、新たなパーツを開発するのに必須の風洞。TMGは2基の風洞を持っているが、写真は第二風洞。現在テストされているのは、2010年用に開発されたTF110のスケールモデル。
「今年一杯は開発を続ける」と、TMG関係者は語っていたが、もしかすると、このマシンがそのまま"ステファノGP"の2010年型のマシンとして、参戦するかもしれない。その場合、中嶋一貴の名も、ドライバー・リストに挙がっている。



2010年用に開発されたTF110が先鋭的なシェイプを見せる。
ちなみに、"ノーズ部分は撮影禁止"だったが、レッドブルのように両肩が盛り上がったフロントサスペンション取付部分と、ごく薄いノーズがなかなかそそるシェイプだった。
ニュースの深層 2009年12月11日 11:13
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