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2017年6月16日

下世話な話も面白い!!--佐藤琢磨会見全録その5(質疑応答-2)

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八郷隆弘本田技研工業株式会社社長から贈られたNSXと。



(その4『居眠りのおかげ!?』からつづく)

6月13日にウェルカムラザに詰めかけた報道陣の中に、GAORAの解説者としてする、インディ500の先輩ドライバーの松田秀士さんがいた。

松田さんは、自分の経験に照らしつ、下世話な、と断った上で、鋭く確信を突く質問を連発した。


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----松田秀士です。今回ほんとにおめでとうございます。(インディカー500の生中継をおこなう)GAORAの解説をやらしていただいて、素晴らしい時間を共有できて、こんなに幸せな時間はなかったです。本当にありがとうございます。

さて、まず自分がインディ500に出ていたのは90年代ですが、今もそうなんですけど、日本のレースではハイリスクノーリターン(笑)で恵まれない。でもインディにに行くとものすごいステータス、ドライバーもリスペクトされ、素晴しい環境と思います。ハイスピードの素晴らしいバトルに対して賞金と言うものがあって、やり方によって33位でも今は18万ドル、僕らの時は13万ドルでしたが、それに対してハングリーだったんですね。稼ぎに行かなきゃいけないと言うことで、それが大きなモチベーションになりました。ちょっと下世話な話になりますが、そこに対しての琢磨選手のモチベーションはどのようなものだったでしょうか。

「それはありましたね(笑)。もちろんお金のためにやってるわけじゃないですけど、生活をしなければいけないしそれ以上に自分のリスクを負うそれだけの対価はいただかないと、プロとしては、というのはあります。多くのプロスポーツの中でも、モータースポーツは非常に不透明なところが多いんですが、さすがアメリカというか、非常にわかりやすいですね。(レース翌日の)バンケットも、(33人全員のスピーチの様子が)全米で中継されて、そこで信じられないような大金の賞金を得るわけですが、それが1つのステータスになっている。それはどんなスポーツを見ても、賞金王だったりと、ポイント選手が信じられないような金額を稼ぐと言うのは、見てても楽しいですね。うらやましい気持ちもありますが、ズバ抜けているので、どんどんいって、子供たちの夢に繋がったり、やっぱり、なんていうかスポーツを通じてやったことを、それがしっかりと認知されて、対価として賞金を得るというのは、非常に素晴らしいシステムだと思います」

「インディ500は、その意味でも非常にわかりやすい形で表現していただいて、あのサーキットで35万人以上の観客入って、そこからの収益を含め、テレビの放送権も含めたとんでもない金額の賞金で提供されますが、それはボクもハングリーになってましたし、最初に自分でアメリカ行きを決めたときも、もちろん、ホンダさんや多くのスポンサーで成り立っていますが、レースは厳しい世界ですので、自分も稼がなきゃいけない。それは大きなモチベーションでした。ただ賞金のためだけだったら、おそらく2012年も2位に入れば日本円にして1億円位入ったわけですから、それはボクとしてはそこには魅力はなかったですね。しかし今回、勝った結果として、大きな賞金を得ることができたので、これはしっかりとチームに持ち帰って、細かい話をすると契約でパーセンテージが決まっていてすべてボクのものじゃないんですけれど(笑)、いただくものはいただいて、チームのみんなにもボーナス、と言ってもキャッシュじゃなくて、思い出として何か作りたいと思ってるので、あとちょっと残ったら貯金しようかなと思っています」

----最後の10何周か、マックス・チルトンを抜くのにかなり苦労してました。でエリアに抜かれ琢磨さんは3番手になりました。チルトン、カストロネベス、その後ろに琢磨選手でしたが、この時にエリアの真後ろに着くことによって、ここがキーポイントだったと思うんですが、エリオにチルトンを抜けるように計算していたんじゃないかと見ていて感じたんですが、そこはどうでしょう。

「それは実際にあります。残り10周ですね、リスタートしてから。チルトンがレースをリードしていたんですが、実は思い切りいけば抜けたんですが、自分の中でホンダ対コンペティターの戦いを頭に描いていて、どうやったら抜くではなくて、どうやったら抜かれないかというのをみてました。チルトンは速いドライバーですが、インディ500で勝負をうかけるには、(経験不足があるので)ちょっと怖い。でも、エリオだったら思いっきりいける。それもあったので正直様子を見てました」

「そして何度かマックスを抜こうとしてストレートで並んでますね。並んでますが、あれはわざと合わせていただけであって、抜こうと思えば抜けたんです。ただあの後、抜いても、確実に抜き返されると、同じホンダのパッケージで、マックスの方がダンフォースが低かったんですね。だから、後に着かれたら、あっという間に抜かれるというのはがわかっていたんで、それはやりたくない。どうしようかなと考えたときに、エリオが来てくれたんで、これも完璧だと。で、映像にありましたが、エリオがボクらをターン3のアウトから抜くというとんでもないオーバーテイクをしました。あれはもう、スペクタキュラーというかすごいと思うんですけど、あれをやってくれたおかげで、ボクはエリオに先行してもらおうと。実は、コンペティターのシェビー(シボレー)とホンダのパッケージングの違いです。ホンダはトップエンドが非常によかったので、純粋なスピードで言うとホンダの方が速かったです。ただしホンダの弱点としては、タービュランスに弱いと言う欠点を持ってまして、それは逆に言うとシボレーが優れていると言うことになるんですが、そこは、彼らは、ギヤボックスにノーズが入るんじゃないかと言う位つけて行っても回りきることができる。2012年の話を何度かしてるんですが、あの時の風向きが非常に重要な要件でして、今回も1コーナーから3コーナーにかけての斜めの風向きだったですね。ボクらホンダ勢は、正直言って4コーナーに合わせ込むのが一番いい。つまり、先頭のクルマが追い風になる時に、自分たちはフロントウィングを少し内側に見せて(前者の左後ろに内側にフロントウィングを少し出す形で)コーナリングすることができる。ところが回ってバックストレッチでやろうとするには2コーナーを速く回らなければいけない。でも2コーナーで誰かの後に入ってしまうと、フロントが抜けちゃって全然走れないんじすね。だからボクはバックストレッチはほとんど抜けないんですが、ペンスキー勢はそれができる。なので、彼らはグッとそこをついてですね、追い風に乗って加速してくじゃないですけど、3コーナーでやってきた。それを見たときに、ボクはやられたので、これは絶対エリオはマックス・チルトにやるだろう、と思って行ってもらいました」

「その通りに次の週やってくれたので、ほんとに、12年のダリオがスコット・ディクソンを抜いたように、ぼくはエリオ乗ラインに乗って、マックスにさよならを告げているわけです(笑)」

「後は、エリオ・カストロネベスとの一騎討ち。その時点で残6周ですけど、その時に、カストロネビスは3回インディ500に勝っていて、彼こそがインディ500で倒すべき相手だと。ボクはカストロネベスと一度もコース上でトラブルになったことがないんです。一度もないんです。これまでもかなりタフなバトルをやってきましたが、あんなにコンペティティブなドライバーで、しかし相手をリスペクトして絶対にラインを残してくれるドライバーは他にいません。そんな彼とやれるということが、とても幸せだったので、思いっきりいけました。それが計算してたところです」

----最後にもう一つ下世話な話を(笑)。副賞でコルベットいただいてると思うんですがこのコルベットどうしますか?

「あんまり乗れないですね(笑)。(右胸のHマークを左手で押さえて)ここがありますから。今も八郷社長からとんでもない素晴らしいスペシャルなプレゼントをいただいたばっかりあので、ボクはこっちの白い低い車に呪うと思います。ただし、ひとつのステータスとしてインディ500に勝った者にしか与えられないというペースカーの仕様ですね。ひとつの宝物として、コレクションとして大事に取っておこうかなと思います」

(その6『常に滑っています』につづく)

photo by [STINGER]

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