F1に燃え、ゴルフに泣く日々。/山口正己

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2017年3月 2日

スイッチON!!

◆またまたでできた自画自賛ネタ(^^ゞ 。

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ニキ・ラウダ。F1GPの歴史に残るドライバーは何人もいるけれど、彼はその最右翼。冷静でクレバーなことにかけては、F1の歴代ワールドチャンピオンの中でも群を抜く存在だってこと、ご存じでしょ?

ワールドチャンピオン3回なっている。しかし、単に3回なったんじゃぁない。1975年にフェラーリで最初のワールドチャンピオンを奪ったその翌年、1周22kmの難コース、ニュルブルクリンクで、その後、その事故が原因でF1GPが開催されなくなるほどの大きなアクシデントに遇ったけれど、死地を彷徨う酷い火傷を負いながら、驚くべき精神力でたった4週間でレースに復帰した。そして、1年後には再びチャンピオンに返り咲き、『不死鳥』と呼ばれるようになった。いや、まだまだ。これで驚いちゃいけない。

その後、1979年に一度、引退しておきながら、3年後に、ポルシェを口説いてエンジンを造らせ、そいつをマクラーレンに持ち込んで『二度目の復帰』。2年間の開発期間を置いた1984年に、またまたワールドチャンピオンを奪って見せた。

この他にも、ラウダの精神力の強さを物語る逸話は事欠かないが、オフィシャルを殴った時のコメントは、ニキ・ラウダというドライバー、もっと言ってしまえば、ラウダを代表とする正統派レーシングドライバーがどういう生き物であるかを最も的確に表現する逸話として"いい味"を出している。

あるレースでラウダは、コースアウトしてリタイアした。マシンが止まるのももどかしく、コクピットを出ようとしていたラウダの肩のストラップ(そういう事態でドライバーを引っ張り出すための"取っ手"としてどんなレーシングスーツにもついていた)を、脱出を手助けしようとしたオフィシャルがいきなり"グイッ"とばかり引っ張った。ラウダは、振り向きざまにそのオフィシャルにガツンと一発パンチを食らわした。驚いてオロオスするオフィシャルを尻目に、ラウダは、思わず唸るコメントを発した。

「ドライバーはスイッチを持っている。コクピットに納まると、そのスイッチをパチンと闘争側に入れるんだ。コースアウトした時などは、そのスイッチがしばらく入ったままになっている。殴ったのは確かにいいことじゃないけれど、悪いのは、ドライバーがそういう生き物であることを知らずに、無神経にストラップを引っ張ったオフィシャルだ」。

かっこいいっ!! レーシングドライバーはこうでなくっちゃっ!!

アイルトン・セナが待望の母国ブラジルGPで優勝を果たした時、コクピットから出られずに興奮状態のセナを介護したウイルソン・フィティパルディの行動も素晴らしかった。1972年に最年少ワールドチャンピオン記録を25歳に更新したエマーソン・フィティルディの実兄である。1990年、ミッショントラブルを押して、精神力を使い果たしてチェッカードフラッグを受けたセナが、ゴール後、無線で宇宙語のごとき叫びを上げたレース後のウィルソンの行動に頭が下がった。

コース途中で止まったセナを、ペースカードライバーのフィティパルディが覗き込む。と、フィティパルディを手助けしようとしたオフィシャルが、フィティパルディの肩ごしにセナにグッとばかり手を伸ばした。フィティパルディはオフィシャルの手を、パッと撥ね除けた、のでは逸話にならない。ウィルソンは、そっと、実にそ~っとオフィシャルの手を押し戻したのだ。ゆっくり、なだめるように。

F1ドライバーだったフィティパルディは、セナのスイッチがオフになっていないことを知っていたのだ。そして、オフィシャルが興奮状態にあることも。相手の興奮状態を気づかうフィティパルディの、優しさ以上の大きさを感じさせるシーンだった。

レースを終えてピットに戻り、スイッチを切って放心状態になったドライバーは、必ず何かを探す目をしている。視線の先にいるのは女性だ。激しい戦いをすればするほど、その反動で寂しくなってより深く、女性の母性に安らぎを求める。F1に限らず、ゴルフでもボクシングでも、優勝した男に婦人や恋人が駆け寄ってキスをするのは、単に祝福しているだけでなく、深く理解して、抱擁で応えているのだ。

日常から非日常へ、闘争から安息へ。スイッチひとつで行きする。優れたドライバーはそれをいとも簡単に、そして確実に行なう力を持っている。しかし、スイッチオフは案外下手なのかもしれない。

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